Case13

排水設備の能力不足

対象建築物

用途
物流倉庫2棟(改修工事)
構造
鉄骨造 地上5階建
延床面積
2,612.95㎡

事故の現象

倉庫の排水設備・排水ポンプの著しい能力不足により、トラックバースに冠水事故が発生した。

事故原因

倉庫改修前は道路より敷地地盤レベルの方が高かったため、ポンプアップすることなく自然放流でスムーズに排水できていたが、改修時、トラックバースを新設した際に敷地地盤を大きく掘り下げたため、排水ポンプが 必要となった。その際、設計者は指定した雨水排水設備(最終桝+排水ポンプ2台)が負担する屋根面積及び 既設屋根からの流入水のことを見落していたため、本来必要とされていた排水能力の1/5前後しか発揮できな い排水ポンプを設置したことが事故につながった。

補償内容と支払い保険金

排水ポンプ取替え、集水桝の増設、それに伴う電気設備工事を行った。

  1. 申告損害額 : 260万円
  2. 認定損害額 : 160万円
    ※排水ポンプの製品代等の改善・改良工事費用を否認した。
  3. 賠償責任額 : 128万円(設計者責任80%)
    ※設備工事業者も既存建物の排水経路や設置するポンプの適否を、確認すべき立場にあったと考えられ、設備工事業者の責任割合を20%とした。
  4. 支払保険金 : 賠償責任額128万円-免責金額10万円=118万円

考慮すべきポイント

改修時において地盤の形状変更がある場合には、排水経路や水勾配に十分な配慮が必要である。また、排水設備が負担する屋根面積等に注意し、設計することが重要である。

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