Case05

片持ち庇にたわみ

対象建築物

用途
国営公園内の飲食施設(新築工事)
構造
鉄筋コンクリート造 平屋建
延床面積
879.71㎡

事故の現象

竣工後1年経ったところで、建物全周に設けられている2.5mの片持ち庇に規定を大きく上回るたわみが発生、 その最大値は162mmに達した。その影響で躯体コンクリートにひび割れが発生し、さらにアルミサッシの変形、 ガラスのひび割れが生じた。

事故原因

構造設計は、協力事務所である構造設計事務所に外注したが、長期たわみに対する検討を全く行っていな かった。その結果、庇の変形量は長期たわみの許容値である1/250を大きく上回っていた。

補償内容と支払い保険金

損壊部分を補修・交換した。庇のたわみ是正は新たに庇の先端部に柱を設置することで解決した。

  1. 申告損害額 : 2,300万円
  2. 認定損害額 : 2,100万円
    ※柱の設置工事は改善・改良工事費として、これを否認した。
  3. 賠償責任額 : 1,050万円(設計者責任100%のうち、元請設計者責任50%)
    ※協力構造設計事務所責任を50%とした。
  4. 支払保険金 : 賠償責任額1,050万円-免責金額10万円=1,040万円

考慮すべきポイント

片持ち庇や梁では、両端支持の部材よりも大きなたわみが生じるので十分な配慮が必要である。また、地震時における鉛直震度も考慮して設計する必要がある。

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