Case11

空調機器の機能不発揮

対象建築物

用途
工場(増築工事)
構造
鉄骨造 地上2階建
延床面積
1,500.00㎡(増築面積164.16㎡)

事故の現象

増築した事務所棟の冷房が効かず、日中の室内温度が29℃~32℃前後で推移している。

事故原因

設備設計は、協力事務所である設備設計事務所に外注したが、熱負荷計算書の内容によると、OA機器等の 内部発熱負荷の見込み誤りがあった。さらに、天井埋込型のダクト吹き空調システムを採用しているにもかかわらず、屋根面ではなく天井面で断熱が行われていた。また、空調機とダクトが断熱層の外側に設置されており、夏場は2~3割増しの負荷が掛かることを考慮していなかった。これらのことから空調機の選定ミスにつながった。

補償内容と支払い保険金

空調機の入替えを行った。

  1. 申告損害額 : 180万円
  2. 認定損害額 : 150万円
    ※空調機入替に伴うグレードアップ費用を否認した。
  3. 賠償責任額 : 105万円(設計者責任100%のうち、元請設計者責任70%)
    ※内部発熱負荷の見落しは設備設計者の責任が大きく、断熱層と空調設備との関連については意匠設計者にも重大な責任があると考えられることから、元請設計者:協力設備設計者=70:30の責任割合とした。
  4. 支払保険金 : 賠償責任額105万円-免責金額50万円=55万円

考慮すべきポイント

熱負荷計算において、設計与条件の把握が重要であり、細心の注意を払い、設計を行う必要がある。

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